取材班がチベットの奥地,秘境中の秘境とされる地をジープで通りかかると,跪いて地面に耳をつけている老人の姿があった。
取材班がチベットの奥地,秘境中の秘境とされる地をジープで通りかかると,跪いて地面に耳をつけている老人の姿があった。
「あれが,今回取材にきた『大地と語る老人』に違いありません」
「ちょうどいい。すぐ撮影準備だ」
さっそく取材班は,カメラを組み立てるや,老人にマイクを向けた。
「ご老人。何か聞こえるのでしょうか?」
やせこけた老人は,目ヤニの奥に黒く鋭く輝く瞳で彼等を見つめると,こう答えた。
「車じゃ。青い車に男がひとり,女が二人。アメリカ人じゃろう。西へ向かっておる。ナンバーは・・・」
取材班はざわめいた。
「信じられない!地面の音でそれだけ分かるなんて」
「神秘だ!これぞ,文明と共に失われてしまった人間の神秘の力なのでしょうか」
老人は続けた。
「・・・が,わしを引いていきよった。早く警察と救急車を呼んでくれ」
よいコンテンツを作るために必死になりすぎる取材者を批判しているものです。
大げさな表現で報道しがちな取材班の勘違いは面白いです。
勘違いは、現実とのギャップが強ければ強いほどインパクトがあります。
